2017年を振り返ってのお話

今日を入れて今年もあと8日で終わりになる。というわけでここ1年を振り返っておきたいと思います。

リリースした音楽について

Yoshino Yoshikawa - The Cats - EP yosshibox.bandcamp.com 猫シリーズ完結編

V.A. - KITTIES #1

韓国DJクルーのSUBBEATによるリリース。このコンピに参加したご縁で6月にソウル、 Cakeshopで行われた彼らのレギュラーパーティーに出演させていただきました。 思えば自分にとっての初めての海外渡航で、しかも初でライブセットを披露するという、体調がまだあまり良くなく3年くらい続いていたパソコンをカタカタしたり(とても恥ずかしくてプログラマーとは言えない...)雑用をしたりする勤労を辞めてしまった直後の自分にとっては敷居の高い挑戦だったのですが現地の人々、特にmondaystudioのサポートもあり無事に終えることが出来ました。感謝の気持ちでいっぱいです。

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動画編集にもチャレンジ。未だに自分が動いているのをみるのはとても苦痛なので見なくていいです。音だけは聴いてほしいですが。そうだ、音だけアップロードすればよかったんだ! 皆がPUMPしていく中で、焦っても仕方がないのでその時の持てることで出来る範囲のことをやろうという挑戦の結果でした。

出演予定日の数日前になるまで体調がダメすぎて頭が全く働かず、飛行機も取れていないという状態で一体どうなってしまうんだ...というドキドキハラハラな状態だったのですが なんとか予約を済ませて勢いで飛行機に飛び乗り、3日間滞在してきました。 まず言語が通じなくて焦る。行きの飛行機で無理矢理ハングルの読み方を頭にいれることを試みてとりあえず意味はわからないけど付け焼き刃で音は分かる状態にはしたものの、 全然喋れないし単語も分からないのでとりあえず拙い英語でゴリ押しする。コミュニケーションは笑顔が大事ですよ笑顔が。しかし絶対引きつっていたに違いない。

借りてきた猫ならぬ異国に借し出されてしまった猫になっていて空港でキョトンとしつつも、空港のSIMカウンターでインターネットをゲットしたらとりあえず勝ちだ、という思いでイミグレーションを済ませた後にカウンターに直行。インターネット回線をゲットしたところでmondayにコンタクトを取り、プロパガンダ映像やニュースを流している空港特急で仁仙空港を後にし、ソウル駅へ。 手配してもらっていたAIrbnbまで案内してもらった。一般道を100km/hで爆走するタクシーでどうにか死なずに済んだ。行き先を韓国語で運転手と交渉している彼のいることの心強さったらなかったです。

このままダラダラと思い出話を書いていても良いのですがちょっと脱線するので簡潔に。 2日目の出演当日の日中が特にしんどくて、言葉が通じない上に高層マンションの11階の一室に居ることによる閉所恐怖のようなものを感じてしまい(引きこもりなのに!)起きれなくなってしまい とりあえずお腹も空いたので近くのスーパーに行って何か買ってこようと思って買ったパンが大失敗で、美味しくはなかったけどそういう問題ではなくて当時ご飯、パン類、アイスを食べると謎の眠気と不安がやってくる感じだったのですが、見事に海外でそれを誘発してしまい、部屋でヒーヒー言いながら耐え忍んでしまったのであまり観光できなかったのが心残りでした。とりあえず外に出ないとダメになる...という思いで2kmくらい散歩してみたのですが、文字が読めない口が聞けないという状況で孤独と不安が同時にやってきて、謎のパンを食べただけだったのでまたお腹も空いてしまい、いろいろなものに負けてソウル駅でマクドナルドに入ってしまったりと、これちゃんと今日出来るのかなという不安の中でその日の夜の本番を迎えました。

しかし、SUBBEATのクルーやお客さんは異国から来た私を暖かく迎えてくれて、ライブセットも盛り上がり、これが忘れられない体験になるわけです。他にも後述するのですが思うところもあり、やはり、喜んでもらえるうちは音楽活動ちゃんとやるべきだなと。その後夏に発生したライフイベントでまた体調がガタガタになりつつも、年末にかけて体調の癖を掴んできたのと、春先に雑務を辞めてストレスが減ったのもありでどうにか持ち直して割りと元気にクラブに遊びに行けたりしています。「久しぶり!」って声かけてもらって仲良くしてもらったりすると、その度にとても救われる思いがしています。私はこの数年間文化にもコミュニティにもあまり貢献できなかったけど、覚えててもらえているのだなと。

時間は前後しますが、緩やかに時間や可能性を潰していってゆっくりと終わりに近づいている閉塞感の中、いろいろと上手くいかないことがあり泣いていた2月の日にYMCKの皆さんに誘ってもらったリリース記念イベントでDé Dé Mouseさんに再開した日から少しずつ世界線が変わりつつあります。そして、結構取り返しのつかないところまでズレが大きくなってきてしまいました。あえて、良い変化だと言いましょう。時間はもう戻せないのだから。

少しずつ音楽をまた仕事に戻していきたいと思っていて、他に名前の出ない広告音楽をやったりしています。来年はアルバムを出します。(宣言) アルバム出すとはずっと言ってますが、価値基準が定かでは無くなってしまい何が良くて何が良くないのか判断できなくなったり、音をリリースしたり、全面に出たりして反応が来るのが怖い時期が長く続いたので、その後遺症みたいなのがちょっとまだ抜けないでいます。勇気を出して。届ける勇気を。 でも、まだ当事者になる勇気が無いんですよね。きっと、自分で何者なのかしっかり定義できるようになった時にうまくいくように出来ているのではないかという予感はあるのですが。

未来のお話

主に暗号通貨に触れているなかで、金融資本、信用がどのように人と人との間をつなぐのかという未来に思いを馳せたりしていたのですが、その妄想を少し付け加えてこの記事を閉じます。

音楽著作権JASRAC音楽出版社等の中央集権的に管理される割合が緩やかに縮小していくなか、ブロックチェーン上で楽曲の作曲者を証明出来るようになり、スマートコントラクトによって 自動的に使用料徴収が出来るようになる近未来。SoundCloudがまだ存在しているかはわからないけれども、似たようなSNS上でトークンを使って気軽に楽曲に対して送金できるようになった時代。 CDで音楽を聴く人は今よりもさらにニッチな存在になり、多くの雑誌は電子配信に切り替わっている日。 信用のやり取りがほぼ瞬時に低コストで行われるようになると、大企業によってアーティストを立てて大金をかけてプロモーションをし回収するというビジネスモデルが十分に非効率的になる、そんな日の少し先の話。 AIにより単純作業の労働から人間が開放されつつある日、あるいは人間がやるより機械がやる方が十分に効率的になり、人間がそうしたコモディティ化した職を失った日。

音楽やその他の表現方法で自分の思想を維持して発信し続けたかという一貫性とユニーク性とソーシャル影響力が法定通貨を始めとする金融資本のちからを上回ってしまう日。 そんな日に向けて自分の音楽をやり続ける、インデペンデントで発信し続けることはとても価値のあることだと思います。主に自分に向けてのメッセージです。

果たして、影響を受けやすく流されやすい私にそんな一貫した思想が果たしてあるのか?拠り所になるシーンもジャンルもないし、どう定義したらいいのか全然自分でも言語化できません。 それでも、皆様の心に少しでも触れるような音が作れたら2018年はきっといい年になるでしょう。 今年1年ありがとうございました。良き年末休暇を。